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夢をあなたの心に届ける・・
心温まる感動小説
黒いネコが描く、温かい小説の世界。φ(^∇^ )
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かごしまStory (鹿児島をテーマにした短編小説)

『種子島の花火』 | <短編小説・ショートショート> | <種子島・恋人・夢を叶える>
懐かしい潮の香りは、忘れかけていた気持ちさえも呼び起こす。彼女は今、大切なものを手に入れた・・。

『ふるさとは遠く、想い出はこの手の中に・・・』 |<短編小説・ショートショート>|<桜島・幼き日の思い出・故郷>
激しく吹き上げる噴煙に恐怖さえ抱いていた子供時代。だが久しぶりに訪れた桜島は、何故か穏やかに僕を向かい入れてくれた。

『もののけと呼ばれるもの・・』 | <短編小説・ショートショート> | <屋久島・自然・不思議>
常識では説明できないものが、この世界にはある。でも屋久島では、その不思議を素直に受け入れることが自然だと思えた。

『蝶が運ぶ想い・・』 | <短編小説・ショートショート> | <ツマベニチョウ・死別・生きる想い>
ツマベニチョウの舞う光景をもう一度見られることを願って、少年は必死に活動し、必死に生きた。またその父も必死にそれに応えようとした。そして今、その願いは叶えられる。遠き空の上で二人は見ていてくれるだろうか‥。


種子島の花火
10月も半ばに差し掛かり、日差しも幾分か和らいできた海の上を、一隻の漁船が走っていた。
太陽は真上、船が巻き上げる水しぶきを照らし淡い虹を作っている。
その虹を見て彼女は声をあげた・・。

「きゃー!裕子っ、見て!見て!・・虹よ虹。すっごくキレイ」
声を上げた彼女は、この漁船には似つかわしくはない身なりの都会的な女性。
淡い茶色の長い髪にフレアスカート、指先も遠めからでもわかりそうなほど飾りたてられている。

「うん、キレイ。でも、詩織ははしゃぎすぎ。あんまりはしゃいでると拓人が調子にのるから・・・。」
そう言葉を返したのは、ジーパンにTシャツ姿の女性。肌は白いが、髪もショートでいかにも活発そうに見える。

「何だって?俺がどうかしたって?」
女性二人の会話を割って入るかのように、船内から一人の青年が出てきた。

「ううん。なんでもない。ただ詩織は都会育ちのお嬢様だから、漁船が珍しいんだって。」

「・・・そうなんだ。ま、裕子とは外見からして違うからな。ほら。」
そう言って青年は、缶ジュースを渡した。

「はい、詩織さんもどうぞ。」

「あ、ありがとうございます。・・拓人さんて漁師さんですか?」
日に焼けた肌、シャツの上からでもわかる引き締まった体。
確かに漁師という名が似合いそうな青年だ。

「漁師? あはは・・・違いますよ。この船は借物だから。船長ごと借りてきたんだよね。僕はこれでも教師なんです。小学校の先生。」
苦笑いの拓人。

「先生って柄じゃないよね、拓人は。」茶化すように裕子はつぶやいた。

「お前は黙ってろ・・・。」

プシュ・・裕子は缶を開けると、少しだけ口に注ぎ込み、拓人に話し掛ける。

「ねぇ、拓人。何で急に同窓会だなんて言い出したの?しかもぜった・・」
そう言いかけた裕子を詩織が遮ぎる。
「ごめんね。同窓会だっていうのに部外者の私なんかが付いてきちゃって・・。
裕子の田舎が種子島だって聞いてから、とっても行ってみたくって無理やり付いてきちゃったけど、ホントに大丈夫だったのかな・・。」

「大丈夫ですよ。同窓会だなんてウソだし。」

「・・・・・。」

「ちょ・・ちょっと待ってよ、拓人。ウソって何?ウソって?
あたし、無理言って仕事まで休んで帰って来たのよ。ウソって・・・。」

「あ〜・・・やられた。だいたいおかしいと思ったのよね。広島から
直接飛行機で帰って来られたのに、船を用意して迎えに来るって言うからわざと直接帰って来なかったのに・・・。これで、しょーもない用件だったら縁切るから。」

「まぁ、そう怒るなよ。今日はどうしてもお前にいてもらわなきゃ・・・。」

「そうそう、おかげで私も始めての種子島体験できるんだし。裕子も気持ちを切り替えて一緒に楽しもー! おー!」
裕子の落胆をよそに、俄然、遊ぶ気満々になる詩織だった。

「・・・はぁ〜、天然二人組みに振り回されそうな嫌な予感。」
肩を落とす裕子と目をキラキラさせてはしゃぐ詩織。
対照的な二人のことなど、気にかける様子も無く船は走り続けた。

「そろそろだな。もう少し早ければ千座の岩屋を詩織さんにも見せられたのに、残念ながら潮がもう満ちてしまったなぁ。」

「ん?ちくらの・・いわや? 何?」

「波に浸食されて出来た洞窟。干潮時にしか見れないんだ。・・裕子覚えてるか?達哉があそこに隠れて大騒ぎになった時のこと。」

「・・・・・・。」背を向ける裕子。

「おい・・。」

「・・・・・。」はやり無反応

「やっぱり怒ったか。・・・仕方ないな。今日の主役にヘソ曲げられ
たんじゃ話しにならないからな。」

「何?ちゃーんと納得の行く説明をしてもらえるのかな?拓人くん。」
そう言って裕子は、やっと顔を向けてくれた。

「はい、はい、ちゃんと説明します。」

「まさか、急にプロポーズなんてする気じゃないでしょうね。何度来ても拓人はお断りだからね。」

「バカ、そんなのしねえよ。そんなの中学校の時の話だろ。俺様をふるような贅沢な女に言い寄る男はいねえよ・・・・・あいつしかな。」

その言葉を聞いて、一瞬裕子は躊躇した。次の言葉が出ない・・。
あいつ・・・それが誰のことを言ってるのか裕子にはすぐにわかったから。

「お前が卒業を待たずに島を出て行くって言った日に、あいつ大量の花火買いに行ったんだよ。季節はちょうど今頃だったよな。達哉んとこのおじさんの船に乗せてもらって本土まで。」

「・・・・・・。」

「おまえ、花火好きだったもんな。だからあいつ、お前に最高の贈り物のつもりで買いに行ったのにさ。ドジっちゃって、船から花火抱えたまま海にダイビング・・・。全部パァにしちまって・・。
あいつ・・そのせいで、お前に伝えたかったこと伝えられなかったみたいだよ。」

「・・・真治。」ポツリ、裕子の口からその名前がこぼれた。

「で、今日はその真治からお前に、種子島でいっちばんでっかい花火をプレゼントするんだとよ。俺はその案内役。」

「きゃー・・その人って、もしかして裕子のこと・・・。私の方が照れちゃいそう。」

「もう、詩織ったら・・・。」
心なしか裕子の頬が赤らんでいるように見える。

「さぁ、船はここでストップ。見てみろ、時間ピッタリ。あれが真治の花火だ。」

そう言って指差した先には、赤く燃えながら白い雲の筋を残して空に舞い上がっていく大きな姿があった。

「ロケット・・・。」

「そうさ、真治のやつ、あのロケットの下にいるんだよ。あいつの夢だった場所に、今あいつはいるんだ。」

ロケットはぐんぐん空へ上って行く、青い空の中に自分の存在の跡を残しながら・・。
何の迷いもなく、ただ一直線に舞い上がって行く・・。
雲ひとつ無い青が、赤く燃える炎をよりいっそう引き立てて、昼間でも見える大きな花火は、裕子の目にしっかりと焼き付いていった・・。

「無事に行ったみたいだな、真治のデビュー戦。あの日、真治は花火を並べて『必ず、帰って来いよ』って書こうとしてんだよ。お前の故郷のこの種子島に、そしてあいつのところに・・・。 お前に帰ってきてほしかったんだよ、真治は。」

大きな花火が点になって、青い空から消えてしまうまで、刹那の瞬間までも惜しむかのように、裕子はじっと見つめていた。

プルル・・・。携帯が鳴った。

「おっと、もう一人の主人公の登場だな。」

「はい、もしもし。上手く行ったみたいだな。おう、お前の大事なお姫さまはちゃーんとここにいるぜ。さっきからちょっと不機嫌で困ってたけど。待ってな・・今代わるから・・。」

「ほら、真治からだ・・。」
裕子は手渡されて携帯をそっと耳に当てた。

「はいはい、詩織さん。俺たちは船の中に・・・。」
おどけた様子で詩織の手を引いて引く拓人。詩織も軽く頷いて、拓人に付いていった。

「・・もしもし。」

「はい。」

「裕子?俺、真治。久しぶりだな。」

「・・うん。」

「見てくれた?」

「うん、見たよ。真治すごいね。すごい難関だって聞いてたけど、ついに夢叶えたんだね。」

「ありがと。でも、大したことはまだ何にもさせてもらえないんだけどさ。」

「ううん、すごいよ。私なんか全然ダメだもん。夢叶えるんだって、島から出てったのに。」

「・・夢、もういっこあるんだ。こっちの方が難しいかもしれないけど、追いかけなきゃ夢なんて叶わないから・・・。だから、待ってるよ。
今度はちゃんと伝えるから・・・だから待ってる。」

「・・・うん。」
そう言った裕子の瞳には、薄っすらと涙が滲んでいる。

海を渡る暖かな風と、太陽に照らされてキラキラと光る波が、真治の気持ちを語っているようでもあった。

『おかえり』・・揺れる波と、緑に埋もれたふるさとの島が、裕子の心にそう囁いていた。とても温かで、優しく流れる子守唄のように・・・。



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注)この物語はフィクションです。
なお著作権は、著者「白い犬と黒いネコ」にあります。
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