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夢をあなたの心に届ける・・
心温まる感動小説
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かごしまStory (鹿児島をテーマにした短編小説)

『種子島の花火』 | <短編小説・ショートショート> | <種子島・恋人・夢を叶える>
懐かしい潮の香りは、忘れかけていた気持ちさえも呼び起こす。彼女は今、大切なものを手に入れた・・。

『ふるさとは遠く、想い出はこの手の中に・・・』 |<短編小説・ショートショート>|<桜島・幼き日の思い出・故郷>
激しく吹き上げる噴煙に恐怖さえ抱いていた子供時代。だが久しぶりに訪れた桜島は、何故か穏やかに僕を向かい入れてくれた。

『もののけと呼ばれるもの・・』 | <短編小説・ショートショート> | <屋久島・自然・不思議>
常識では説明できないものが、この世界にはある。でも屋久島では、その不思議を素直に受け入れることが自然だと思えた。

『蝶が運ぶ想い・・』 | <短編小説・ショートショート> | <ツマベニチョウ・死別・生きる想い>
ツマベニチョウの舞う光景をもう一度見られることを願って、少年は必死に活動し、必死に生きた。またその父も必死にそれに応えようとした。そして今、その願いは叶えられる。遠き空の上で二人は見ていてくれるだろうか‥。


故郷は遠く、想い出はこの手の中に・・・
太陽が西へ傾きかけようとしている。
ほんの先ほどまでは助手席のシートに射し込んでいた日が、今は、車を運転中の僕の右腕に注がれ始めた。
外はエアコンのスイッチを入れるほどの暑さではない。
僕は日の当たる右腕を少し風に当てるつもりで、窓を開けた。
・・・うん!いい風だ。
懐かしい潮の香り。

「うっ・・。」

前を走る車が、道路にたまった砂を巻き上げた。
当然、後ろを走る僕の車にそれは降りかかる。

「・・・ったく、埃を巻き上げて走りやがって。・・ん?」

顔に付いたであろう埃を払おうと手で顔を拭った。
その手に不思議な感触を覚える・・・ざらっとして、べたついて、よく感触を確かめようと指先で転がすと、一粒、一粒の角が尖っているようにも思える。

「灰か・・まだ、桜島には灰が降っているのか・・。」

車の速度をゆっくりと落とし、道路脇の駐車帯に車を停めた。
ドアを開けて足を道路に下ろす。
ザッ・・
靴の底を伝わって、灰が道路に撒き散らされているのがわかる。
そして車を降りた僕の目の前には、雄大な桜島が堂々としてそこに在った。その頭には、噴煙の冠をつけて・・。

「そうだ・・何年振りだったんだろう?ここに帰って来たのは。
最後に帰って来たのは、伯父さんが亡くなった年だったからもう、4年前か・・。」

僕がまだ小さかった頃、僕たち家族はここに住んでいた。
だがあの頃、桜島は今よりも激しく吼えていた。
たくさんの人が桜島の激しさに畏怖の念を抱き、この地を去った。僕の家族もその中の人間だった。
でも、毎年のように夏休みはここに居たような気がする。
真っ黒に日焼けするまで遊んでた思い出の景色はここだけだから・・。
いつからか・・たぶん、中学校に上がった年からだ、ここに来なくなったのは。

僕は久しぶりに伯母の家を訪ねて見ることにした。
再び車に乗り込むと、窓を閉めアクセルを踏み込んだ。
子供の頃の夏休みを毎年のように過ごしていた場所。
ここから車で2〜3分もかからないはず・・。
4年振りだというのに、道順はハッキリと覚えていた。
つい昨日まで通っていた道かのように・・・。

伯母の家とは言うものの、伯母はもう長い間病院暮らし、伯父が亡くなる前から病院にいる。
もうかなりの年齢になるので、退院も難しいらしい。
そろそろ見えてくるはずだ・・このカーブを曲がれば、ほら、そこだ。

伯母の家は道路より少し低い位置に立っている。
狭い乗り入れ口からゆっくりと車を滑りこませて、車を停車し、エンジンを止めた。

玄関に人影が・・。
聞き慣れぬ車の音に誰か出てきたのかもしれない。

「ゆうちゃん!」

その人影の主は、伯母の娘の紘子さん。
僕より2つ上で、小さい頃はよく遊んでもらっていた。

「ご無沙汰してます。」

「もう、いっつも突然来てびっくりさすよね、ゆうちゃんは。いつ来たと?仕事ね?」

「仕事。今朝大阪から出てきたばっかり・・。ちょっと早めに終わったから寄ってみたんだ。」

「時間はあるんでしょ?はよ、上がって・・。」

「あ、いや、そんなに時間はないんだ。飛行機の時間もあるし、これレンタカーだからこいつも返さなきゃいけないし。・・・少し、この家を見たくなってさ。ひろさんの顔もね。」

「まぁ、上手ねぇ〜・・。あ!そうそう、偶然さっき掃除してたら面白いものがあって、ゆうちゃんが来るって知らせだったんかもね。」

そういうと、割烹着のポケットから何かを取り出した。
・・・写真だ。黄ばんで、かなり古そうに見える。

「はい、どうぞ。ゆうちゃんは見たことない写真だよ。」

写真を手にとって、じっくりと眺めてみた・・・。
まだ小学校にも行ってない小さな子が中央で泣いている。
・・これが僕だ。となりで僕の頭を撫でてる女の子がひろさん。伯母さんも写ってる。
でも暗い・・。古臭い写真だからくすんでいるのかもしれないが、それにしても・・・。

「ふふ・・暗くて写りが悪かでしょ。そこは、避難壕だから。
その日は桜島がえらく怒っちょってね。でもゆうちゃんを避難壕に入れようとしたら、泣き出して・・・。
どうしても泣き止まんもんだから、父ちゃんが買ったばっかりのカメラでゆうちゃんを撮ってあげたと。ゆうちゃんカメラが珍しくて、カメラ構えたらポーズとって答えよったから。」

ひろさんは懐かしそうに微笑んでいる。

「そっか・・これが伯父さんが撮った最初の写真か。」

「そう、最初で最後の写真。すごい灰が降る中で長いことカメラ構えちょったから、ゆうちゃんを撮ったこの一枚だけで、後はシャッターも切れんようになってね。父ちゃんは何も言わんかったけど、けっこうショックだったみたい。」

そうか、知らなかったとはいえ、伯父さんに何か悪いことしてたみたいだな・・撮ったのはこれが一枚だけか・・。
そう思うと、余計に懐かしさと大切な思い出が蘇ってくるような感覚だった。

「桜島、今日も灰が降ってるね・・。」

「うん、そうね。でも、最近はおとなしくなったとよ。ゆうちゃんたちが居った時のようなひどいのはもうないから。どげんね、大阪は?灰も降らんし、住みよかね?」

「・・ま、灰は降らんけどね。その代わり排気ガスやらなんやらで、空気は汚れてるよ。水もここの水の方が何倍も美味しいし・・。」

「そげん言っても住めば都よね。文句は言いながらも、やっぱりそこから離れられんくなる。うちも一緒よ。灰が降れば文句ばっかり言ってるのに、降らんと、洗濯物を外に出していつ灰が降ってくるかばっかり気にして、なーんも手につかん。
灰が降ってくれた方が洗濯物家に入れて、かえって落ち着いたり
して、自分でおかしいくらいよ。」

「・・ひろさんらしいや。」

「なーんも役にも立たん灰やけど、生活に影響が大きいから自然に体に染み付ちゃったんだろうねぇ。」

その時苦笑いを浮かべてる紘子さんが、何故か僕には羨ましかった。
僕には思い出の中にしかない故郷を、さらっと語る紘子さんに返す言葉がなかったせいだろう。

「その写真はゆうちゃんにあげる。父ちゃんもそうしてくれって言うだろうしね。だから今度来る時はちゃんと連絡くらいしなさいよ。故郷に帰って来る時くらい、のんびりしていくもんよ。」

・・・あったかい。
サバサバした物言いだけど、僕にはとってもあったかい。

「今度はゆっくり出て来るよ。娘たちも一緒にね。」

「これも、ほら持って行って・・。」

そう言ってみかんをふたつ手渡してくれた。
そっと鼻に近づけてみた・・子供の頃感じたような、太陽の匂いがした。
目を閉じて、しばらくその匂いに僕は酔っていた。

僕にとってここは紛れもない故郷。
ただ、容易に手が届かないだけで、ずいぶんと遠いもののように
感じていた。
・・だけど、ホントは近いのかもしれないな。
この写真・・・僕の宝物のひとつにしよう。
大切な想い出の風景として・・・。



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